優哉は笑っていた。


「仕方のないことだよ。別に付き合っていたというだけで婚約していたわけでもないし、こういうことは僕達みたいな学生の間ではよくあることだよ」


「そうなの?」


「昨日まで自分の彼女だった女の子が、次の日には友達の彼女になっていることくらい、別にどうってことないよ」


だけどやはりそう言う優哉の笑顔は固かった。


彼が本心からそんな事を言っているわけでないのは、鈍感な私にでも分る。


「兄がその佳奈って人と付き合っているって、自分から優哉に言ったの?」