隠れ雨
  お調子者の狐


気付いたら目はあなたに釘付け。
一生この一瞬が消えなくなれば良いのに。

サラサラの髪、スラっと綺麗な顔立ち。

後ろ姿さえもカッコイイ。

「っ!」

なんと私の痛い視線に気付いたのか、君は私の方に振り返った。

・・・そらせない。
私は顔を真っ赤にしながらこう願った。



『あぁ、神様。どうか、この頃サボっていた塾もちゃんと欠かさず行きますから、私をあの人と両思いにして下さい。なにより夢なら覚めないで!』



まだ思い出に変わる前に、記憶を鮮明に残しておきたい。
この目に焼け付くまで。

『光嶋さん!』

「・・・ぇ」

『光嶋さんってば!』

幻なのか、現実なのか。

いや、せめて夢なのか。

高見さんが私を小声で呼んでいる。
その透き通る声は私の胸を大きく高鳴らした。

『光嶋さんっ!!』

「ぇ、あ、はいっ」

我に返った私は瞬きを一回、さらに三回した。
ぇ、なんでしょうか。

『答え・・・』

「答え?」

『・・・』

高見さんは指を黒板の方に指した。
そこには、先生が私を大きく見開いた目で睨んでいた。

凄く、視線が痛いです。

「光嶋さん、じゃあこのココの答え」

「ぁ、あいっ!」

私は勢い良く立ち上がり問題を小声で読んだ。
・・・なにこれ読めない。

『光嶋さん!』

「?」

高見さんに呼ばれて見ると、ノートを開いたまんまで私に見せていた。

「こ、答えは・・・ I love you too・・・ってあれ?」