隠れ雨
  胸打ち時雨


部活から変える途中、ばったりあった昔の先輩。
私は足取り軽くその人の元へと行った。
久しぶりに会ったせいか、先輩は前よりかっこ良くなって背も高くなっていた。

先輩は優しく正義感があった。
彼女さんはにぎやかで可愛い人だった。

私はその人が好きで、まだその時の気持ちを教えていない。
黄色い思いはまだ残っていて、自分自身も気付いていなかった。


騒がしい駅の中。
私達は一緒に帰ることになった。


大きくなったね、女の子らしくなったね。
そんな嬉しいことを言われて、私の心は宙に浮いた。

電車の外は雨が少し振っていて、空は明るく黄昏れていた。
あぁ、さっきまでの憂鬱な気分はどこへ。

先輩は途中の駅で先に降りて行った、電車のドアがゆっくり閉まるのを私と先輩は見ていた。

これが先輩と私の境界線。
いつかそれを、飛び越えられる日は来るのだろうか。

声に鳴らない悲鳴を上げて、一滴涙がこぼれた。

それを拭いて、顔をあげて。
外を見ると、もう雨はあがっていて。


「さよなら」


先輩は電車がいくまでプラットホームに凛々しく立っていた。
口でなにか言っていて、私はそれを分からない。

心の雨はまだ降っていた。
外の雨はもう止んでいた。

お別れいうのはつらいけど。
また会えると信じていれば辛くない。


手を振って、笑顔で別れた。