ハリスはどういうわけか、アルミラージの肉団子スープを2つ用意した。見た目はどちらも同じだ。
食べ比べてみろと言われて、リリアナとテオはふたつの皿を交互に食べてみる。
具材は肉団子とアカニンジンのみで、スープに使用しているだしや香辛料も同じ。アカニンジンの色がほんのり移った赤いスープの色味も変わりない。
アルミラージの肉は脂身が少なく、鶏のささ身に似た淡白な味わいだった。
茹でてもパサつくことはなくふっくらしている。よく味わうとどことなく獣臭さを感じるが、強めにきかせた臭み消しの香辛料との相性が良く、むしろそれがクセになる。
アカニンジンの辛みがしみ出たスパイシーなスープは、アルミラージの旨味も含んでいるため飲みやすい。
間違いなく美味しい。
心地よい温かさに思わず笑みがこぼれる。
次に、もう片方のスープを食べてみた。
肉団子を口に含んだところまでは最初のスープと同じだと思ったが、噛むにつれて獣臭さが増していく。食べられたものではないというほどではないが、正直言って臭みが強くて不味い。
「なんだか臭いわ」
「だな」
テオも同様の感想を持ったようだ。
リリアナはハリスがふたつの鍋を同じ工程で調理しているのを見ていたから、そこで味の差がついたわけではない。香辛料の加減も同じように感じた。
ということは、個体差だろうか。
「最初から片方のアルミラージは美味しくて、もう片方は臭かったってこと?」
ハリスが頷く。
「そうだ。臭みが残っていたのは、テオが仕留めたアルミラージだ。なにが違ったかわかるか?」
「知らね」
テオは自分の仕留め方にケチをつけられたと思ったのか憮然としている。それにあの時、すぐにアルミラージを追いかけていったから、ハリスがどうやって倒したのかテオは知らないだろう。
「追いかけまわさずに手早く仕留めた方がいいってことかしら」
あの時ハリスは、おろし金を投げてアルミラージを失神させた後にひと刺しで仕留めていた。
「その通りだ」
ハリスが満足げに口角を上げる。
「追いかけまわされてストレスがかかると、肉が不味くなる生き物がいるんだ。捕食する側がこの肉は不味いと認識すれば餌にされなくなるだろうっていう防衛本能なんだろうな」
ハリスの説明を聞いて、なるほどと頷くリリアナだった。
食べ比べてみろと言われて、リリアナとテオはふたつの皿を交互に食べてみる。
具材は肉団子とアカニンジンのみで、スープに使用しているだしや香辛料も同じ。アカニンジンの色がほんのり移った赤いスープの色味も変わりない。
アルミラージの肉は脂身が少なく、鶏のささ身に似た淡白な味わいだった。
茹でてもパサつくことはなくふっくらしている。よく味わうとどことなく獣臭さを感じるが、強めにきかせた臭み消しの香辛料との相性が良く、むしろそれがクセになる。
アカニンジンの辛みがしみ出たスパイシーなスープは、アルミラージの旨味も含んでいるため飲みやすい。
間違いなく美味しい。
心地よい温かさに思わず笑みがこぼれる。
次に、もう片方のスープを食べてみた。
肉団子を口に含んだところまでは最初のスープと同じだと思ったが、噛むにつれて獣臭さが増していく。食べられたものではないというほどではないが、正直言って臭みが強くて不味い。
「なんだか臭いわ」
「だな」
テオも同様の感想を持ったようだ。
リリアナはハリスがふたつの鍋を同じ工程で調理しているのを見ていたから、そこで味の差がついたわけではない。香辛料の加減も同じように感じた。
ということは、個体差だろうか。
「最初から片方のアルミラージは美味しくて、もう片方は臭かったってこと?」
ハリスが頷く。
「そうだ。臭みが残っていたのは、テオが仕留めたアルミラージだ。なにが違ったかわかるか?」
「知らね」
テオは自分の仕留め方にケチをつけられたと思ったのか憮然としている。それにあの時、すぐにアルミラージを追いかけていったから、ハリスがどうやって倒したのかテオは知らないだろう。
「追いかけまわさずに手早く仕留めた方がいいってことかしら」
あの時ハリスは、おろし金を投げてアルミラージを失神させた後にひと刺しで仕留めていた。
「その通りだ」
ハリスが満足げに口角を上げる。
「追いかけまわされてストレスがかかると、肉が不味くなる生き物がいるんだ。捕食する側がこの肉は不味いと認識すれば餌にされなくなるだろうっていう防衛本能なんだろうな」
ハリスの説明を聞いて、なるほどと頷くリリアナだった。



