大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する

 リリアナは、泥マンドラゴラの相手をすることにした。
 草原エリアにいるマンドラゴラとは違い、泥まみれである上にこちらの顔めがけて泥を投げつけてくる。
 触手を振り回してさらに泥を投げようとするマンドラゴラに向かってリリアナは水魔法を放った。
 真水を上からザバーッとかけるだけの簡単な魔法だ。勢いよく水をかけられてすっかり泥が落ち、つるりと白い体がむき出しになったマンドラゴラが一瞬、虚を突かれたように動きを止める。
 その隙にマンドラゴラの表面に残る水を魔法で凍らせた。
 中までガチガチに凍らせなかったのはもちろん、食べることを考えているからだ。
 それにマンドラゴラは、驚かせば簡単に死ぬ。
 水をかぶり、さらに体の表面が凍るという2段階の驚きを体験したマンドラゴラは、ポカンと驚いた表情のまま絶命して苔の上に転がった。

「よくやった」
 振り返るとハリスが親指を立ててニッと笑っている。
 リリアナが泥マンドラゴラ相手にどう戦うか見守っていてくれたようだ。
 そんなハリスの背後では、テオとコハクが協力して毒ガエルの頭を落としたところだった。

 魔物が3種類獲れたところで休憩を兼ねた食事をとることとなった。
 ハリスによれば、この沼地に生息する泥マンドラゴラを食べれば泥耐性アップと霧耐性アップのバフがつくらしい。
 普段なら五感の敏感なコハクが警戒してくれているため、さきほどの泥の中に潜んでいた毒ガエルだってもっと早く気づくはずだ。
 このエリアの、まとわりつくような湿気がコハクの感覚を鈍らせているのだろう。
 だったら早めにバフをつけておいたほうが捜索もはかどるはずだ。

 リリアナたちは沼のほとりにセーフティカードを置き、防水シートを敷いてそこで調理を始めた。