大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する

「よし、終了。拠点まで戻るぞ」
 オウルベアの解体作業が終わり荷物をマジックポーチにしまうと、すぐに雪山エリアから出ることにした。
 雪が強くなってきたものの視界は良好で、拠点からはさほど離れていない。
 行きは上りだったため少々時間がかかったが帰りはすぐだろう。
 しかし雪山の天気の変わりやすさを考えると、余裕のあるうちに撤退しておくほうがいい。

 コハクが乗れと促してくるので、リリアナはまたそれに甘えて背中に跨った。
 モフモフの毛に顔をうずめるリリアナの頭の中はすでに、オウルベア鍋のことでいっぱいになっている。
 しかし拠点が見えてきた時、コハクがピクッ背中を揺らして足を止め、山頂を振り返った。

「ガウッ!」
 コハクが緊迫した鳴き声を上げたと同時に、ゴゴゴゴッという音が辺りに響く。
 雪崩かもしれない。
 コハクが駆け出し、テオとハリスも後を追って駆け出した。

 背後でザザーッとなにかが流れるような音がして白い雪煙がもうもうと立ち上る。
 リリアナがコハクにしがみついたまま振り返ると、すぐ後ろを大量の雪とともに木や魔物たちも流されているのが見えた。
 テオとハリスはぎりぎり巻き込まれずに済み、走り続けている。
 気付くのが遅れてゆっくり歩いていたら巻き込まれていただろうと思うとゾッとする。

 このまま拠点まで走り続ければ大丈夫――そう思った時だった。
 腰になにかが巻きついたような感触があり「ん?」と思った直後、リリアナはコハクの背中から離れ後ろへと引っ張られるように飛んだ。

 背中が軽くなったことに気付いたコハクが急停止し、体を反転させてリリアナに向かって飛んでくる様子。そしてテオとハリスが驚いた顔で振り返る様子が、まるでスローモーションのようにゆっくり見える。
「リリアナ!」
 視界が真っ白になる直前、テオの声が聞こえた気がした。