あの訳のわからない紙が入った封筒を渡された私は、一応大人しく
家に帰ることにした。

ーーって言っても、私はあそこを自分ん家だとは、微塵(みじん)も思ってい
ないけど。

叔父(おじ)さん達は、最近仕事が忙しいみたいで夜も帰ってこない。
だから、帰って来ようが来まいが関係ない、怒りもしないし、悲しまない。

所詮、私は空気に等しい存在ーー……。

貰った封筒は机の引き出しに一応保管する。
壁掛け時計の針が2時を指す丑三つ時に、私はベットで眠りについた。



ーーチュチュ、チュン、チュン。

「姫、朝ですよ。早く起きないと遅刻してしまいます」
「う、う~ん、もうちょっと……」

「もしそうなってしまったら、罰としてキスの刑ですよ」
は……???

私は慌ててベットの上で跳ね起きる。
そして、視界に入った光景に目を疑った。

目の前には、胸に片手を当てて爽やかな笑みを浮かべる
王子様オーラ全開の、イケメンな男子。

さっきの声の主は、疑うまでもなくこの人だと確信した。