身体も小刻みに震えていた。
悲しい気持ちで震えているのではない。
桜のことが好きすぎる自分に気が付いて、嫉妬深い女だと思われたくなくて。
それが桜にばれてしまうんじゃないかと恐怖で震えていただけ。
でも、その理由を言ってしまうと、桜に嫌われてしまうんじゃないか、
と不安になり、言い出せなかったんだ。
するり、といつの間にか腕をほどく桜。
「そーか……、本当は俺のこと嫌いだったんだな、麗」
「……へ?」
桜の思わぬ発言に、私は口から間抜けな声が出る。
彼の顔を見るとーー、酷く悲し気な表情をしていた。
「ちがう! そ、そんなの誤解だよっ!」
「じゃ、なんで震えてんだ? 逃げようとするんだ?」
その問いに私は、いつまで経っても答えることはできなかった。