「は、離してっ……!!」
桜の腕の中で私は、必死に抵抗したけれど、びくともしない。

「なぁ、麗。お前様子おかしいぞ? どうしたんだ、一体。誰かに
嫌なことでもいわれたのか?」

桜の声は、淡々としている。
けど、それが逆に、私の怒りを煽った。

桜はーー、桜はあんなキスをしていおて、自分が恥ずかしくないのだろうか。
いや、恥ずかしくないんだろうな。

桜は性格にちょっと問題があるけれど、ルックスはかっこいいし、喧嘩も
強いみたいだし、他の女の子とも、沢山ああいうことをしてきたんだろう。

何故か、私の胸が針を刺されたようにチクリと痛む。

「わ、私は今、桜と普通に接する自信がないの……、だから、
しばらくは放っておいて……、お願い」

自分でも驚くほど、弱弱しい声が口からこぼれる。