そういえば、自殺しようとした時も、星は無いけど月はあった。
だけど、こんな風に感動的な気持ちで眺める日が来るなんて、以前の私が
知ったら絶対に信じられないであろう。
あの時、見知らぬ男に絡まれていた私を、桜が助けてくれてーー。
そして、姫立学園の招待状を手渡してくれた。
桜のことだから、たぶん頭が狂っている私を面白がって渡したんだろうけれど、
彼には感謝しなきゃいけない。
本当のことを言うとあの紙に名前を書いた理由は、“なんとなく”だった。
奇跡なんて起こらない、幸せなんてやってこない。
心の大半がそういう感情に埋め着くされていた状態で、唯一残った“なんとなく”
という思いで自分の名前を書いたんだ。
ーーふと、星空から視線を放すと、私はあることに気づく。