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チッ、チッ、チッ……。
壁掛け時計の針だけが、部屋に響くのを聞いていると、ますます目がさえる。
就寝から1時間経つが一向に眠れないのだ。
ベットでただ横になっているにも、苦痛に感じてきて、私はとうとう
起き上がり、カーディガンだけを羽織る。
寝付けないから、ちょっと夜風にでもあたろう……。
そう思い、常夜灯のオレンジ色に照らす部屋を抜けて、玄関の戸を
そっと開ける。
ひゅうっと少しひんやりした風が頬を撫でるように、吹き抜けた。
少し歩いたところに、いつも学園へ登校する時、下へ降りる階段が
あることは知っていた。
私は数段降りて、手すりに掴まりピタリと止まる。
見上げるとーー、視界に広がるのは驚くほどの満天の星空。
しかも、右斜め上に、くっきりと月も浮かんでいる。
今夜は、満月なんだ……、綺麗……。