「俺は、私立姫立(きりつ)学園の今年1年になる生徒。名前は
五鬼上 桜(ごきじょう さくら)。あんたは?」

「……花ヶ迫 麗(はながさこ れい)」
「麗、これをお前に渡す。あとどうするかは、お前次第だ。じゃーな」

桜ーー、と名乗った彼は今度こそ闇夜に紛れ、消え去った。
冬の凍った空気が私の頬を掠める。

私は居てもたってもいられず、洋封筒の中を急いで開けるとーー、
“私立姫立(きりつ)学園の入学希望者および姫候補は下に署名”と書かれた
小さな紙が一枚入っていた。

そして、これが私の人生を大きく変えるものになるなんて、この時はまだ
知る由もなかったのである。