次の日の朝。
私は、普段通り身支度をして、寮の部屋を出る。

そのまま真っすぐ学校へーー、ではなく、隣の《502》号室の、
扉を少し強めに叩く。

「桜! 早くしないと遅刻するよ!?」

そう。六華くんは退学して、新たに“騎士”になった桜がここの住人に
なったのだ。

桜は朝が弱いらしく、1人で起きるのは苦手だと言っていた。

あんなにいつも堂々としていて、いかにも最強なヤンキー男子
のオーラを醸し出しているのに、そんな弱点があったとは知らなかった。

失礼だけど、桜の事がちょっぴり可愛く思えてしまう。
いわゆる母性本能をくすぐられるっていうやつだ。

玄関の鍵は無防備に空いていて、一瞬迷ったが、中へお邪魔する
ことに。

そういえば、男の子の部屋の中に入るのって初めてだな……、
なんだか緊張する……。

そう思って、靴脱ぎ場でウロウロしているとーー。