「いや、全然普通じゃないからっ!!」
私が否定すると、桜はプッと口から噴き出して笑う。

「ふ~ん、じゃ、保健室でキスするのは普通なのか?」
からかい口調で言う、桜に対して思わず「うっ、」と言葉に詰まってしまう私。

それ以上、私は桜に反論できずに、そのまま下駄箱まで運ばれたのであった。

でも、運ばれている途中で私は内心、やっと幸せを手にすることができた
んだという現実に、涙がこぼれそうな程嬉しかったんだ。

でも、桜には「ありがとう」と呟くのが精いっぱいで、この気持ちを伝えるのは
もう少し先になるな、と感じた。