放課後の鐘が鳴り、私と桜は、長い廊下を並んで歩く。

数時間前に体調が戻り、教室に戻って午後の授業を私は受けようと
したとき、校内放送で「放課後、校長室に来るように」と命令されたからだ。

私1人で十分だと桜に言ったんだけれど、心配だとのことで2人で行くことに。

正直、1人なのは心細くて、桜が側にいるのは助かるんだけど……、なんだか
甘えてしまっている自分に、疎(うと)く感じているのも事実だ。

“校長室”と書かれたプレートが見えて、私と桜はその扉の前で立ち止まる。
深呼吸してから、私はコンコンとノックをする。

返事が聞こえて、戸をゆっくりと手で押した。
すると、目の前に、重厚な机に座っている校長先生の姿が。

「花ヶ迫さんだね、待っていたよ。おっと、彼も一緒なんだね?」

「あ、すみません。俺、麗1人では不安なので、付き添って来ました、
校長先生」

「いいんだよ。そうするのも大体予想していたからね」