私が意識を失ったあの後、どうなったのか、何が起こっていたのか、
保健室まで誰が運んでくれたのかはもちろん気になったけれど、
桜に一番に伝えたかったのはーー。

「私、桜のこと好きだよ」

別にフラれてもいい、傷ついてもいい。
そう覚悟を決めた、私の精一杯の発言だった。

すると、桜が今度はベットに手をついて、私に覆いかぶさるような
体勢になる。

桜はベットに寝ている私を見下ろしながら、頬を珍しく朱に染めて、
薄い唇をゆっくりと動かした。

「俺も好きだ、麗のことが」
……へ?

私は一瞬頭が混乱する。
「ど、どうして? 私、あまり笑わないし、自殺しようとするような女だし……、
好きになってもらえる要素なんかないよ?」

「いや、ある。麗は笑うと可愛いし、不良の俺に馬鹿な程お人よし。それに、
もう自殺するつもりもさらさらないだろ。麗は以前よりも強くなったから。
だからーー、俺の恋人になってくれる……?」

「うん、もちろん」

そして、私と桜は、誰もいない保健室の一角で深いキスをした。