お昼休みが終わりに近づくなか、私は机の横に引っ掛けてある鞄を手に取り、
そのまま教室を出る。

不謹慎だが、精神状態があまりよくなかったため、今日はもう授業を受ける気
にはならず、結果、早退しようと思ったからだ。

私は誰もいない真っすぐな廊下に、昇降口を目指して歩く。
桜に会いたいーー、と思って、下げた視線を、ふと上げると。

「あれ? 麗さんじゃないですか」
「……っ!?」

生徒会の役員であろうと思われる、2人の男子生徒を引き連れている
六華くんが私の目の前にいた。

「ど、どうして……」
「どうしてって、今日の午後の授業は2年生の発表会なんですよ?」

そう言われて、私はそうだったと、ハッと思い出す。
けれど、そんなことよりも。

「ーー桜の退学を今すぐ取り消して」
シン、と一瞬空気が静まるような感覚がした。

「はい? それは出来ませんよ。僕たち生徒会のみんなで決めた結果ですから」
六華くんは、張り付けた笑顔を浮かべる。