「花ヶ迫さんは知らないかもしれないけど、僕、一応生徒会役員なんだ」
「ふぅん……、」

「生徒会長の四王天先輩に、前から花ヶ迫さんが気になるみたいなことを
僕が言ってたんだけど……、そしたら突然昨日、席を変えてあげるって四王天先輩に
急に言われてさ。で、五鬼上の席と交換したわけなんだ」

……へ? ご、五鬼上?
私は思わず耳を疑った。

そんな私の様子を察したのか、彼は少し目を見開いて驚く。

「あれ? 花ヶ迫さんの前の席って、元々、五鬼上だったんだよ。アイツ、留年して
俺たちと同じクラスなんだ。まぁ、めったに学校には来ないけれどね」

男子生徒は、悪気の無い笑みを浮かべてから、私のすぐ前の席に座ってスマホを
いじくり始めた。