弱弱しい声と共に、私は助けてくれた彼に頭を下げた。
そのまま、立ち去るのかと思いきや、彼は私を見て眉をひそめる。
「なんでこんな真夜中に、お前みたいな子供がいるんだよ」
“子供”というワードにちょっとムッとして、そっぽを向くと、
ふわりと何か暖かいものに包まれた。
「……へ?」
「その恰好じゃ寒いだろ、これ羽織っとけよ」
月明りだけが頼りだったけど、私は初めて、彼の顔を見た。
ーーかっこいい、人。
ーー鼓動がどくん、と高鳴った。
「……私の両親は、亡くなったの。交通事故で。しかも、お父さんは社長
だったんだけど、会社が赤字で多額の借金を抱えてて……それを残して死んだ」
「……」
「借金を抱えた一人娘の私は、一応親戚に引き取られたんだけど、その場所が
窮屈で、誰も味方してくれない独りぼっちだった」
「……」
「学校でも自分の噂が広まって、悪口も言われたし、散々いじめられた」
「……そうか、」
「だから私は、この苦しい現実に耐えられなくなって、死のうと決意したの」