また私の耳に届く、忌々しい声。
「ねぇ~、六華く~ん、チューして?」
「ははっ、君は本当にわがままだね。でもいいよ、今日の僕はご機嫌だから
沢山してあげるーー……、って、麗さん?」
裏庭にいる六華くんと、見知らぬ女子生徒の目線が私に向けられる。
「どうしたんですか? こんなところで。あ、それより掲示板みましたか?」
私はカッと頭に血が上る。
「どうもこうも、一体何なのあれは! 気に入らないからって、桜を退学なんて
酷すぎると自分でも思わないわけ!?」
「あー、それのことですか。別にいいじゃないですか、あんな不良と関わってたら、
評判が下がるのは、麗さんの方なんですよ?」
私は思わず、「うっ、」と言葉に詰まってしまう。
「分かったなら、さっさとどっかに消えてください。僕はもう少しこの時間を楽しみ
たいんで」