馬鹿だった。

私が最初から六華くんを“騎士”に選んでいなければ、こんなことには
ならなかったのに。

翌朝、登校して、廊下に張り出されている掲示板を見て私は愕然(がくぜん)
とした。

-----退学者:五鬼上 桜-----

見間違いでもなんでもない。
画鋲(がびょう)で刺された紙には、確かにそう記されていたから。

HRが終わって、私は急いで2年生の教室に向かう。

「六華だったら、今はいないよ。何処に行ったかもわからない。ごめんね、
俺、役にたてなくて」

「いえ、別に大丈夫です。気にしないでください」

六華くんと同級生の男子ーー、先輩からそう申し訳なさそうに言われた後、
私は方向転換して、思い当たる場所へと走り出した。

走って走って……、ひとけが完全になくなった頃。