「……違う! わ、私はあなたの言いなりになんか、奴隷なんかにならない!」
思いっきり叫んでそう否定したけれど、六華くんは不可解な笑みを浮かべている。

「麗さんは、本当になーんにもご存じないのですね。いいですか? “騎士”を
変更することは可能です。けど、それには両者の承諾が無いといけないんですよ」

「え……、何それ」
嫌な予感が頭をよぎり、背中に冷や汗がつたう。

「麗さんが僕じゃなくて、あんな不良の姫になったら僕の評判が下がって
しまいます。だから麗さんには、僕が学園を卒業するまで、僕の姫になって
もらいますよ」

「そ……、そんなの嫌!!」
「じゃあ、邪魔な五鬼上には消えてもらうしかありませんね」

六華くんは黒い笑みを浮かべて恐ろしいことを淡々と述べる。
「き、消えてもらうってーー、」

私が「どういうこと」と言う前に、六華くんは話を勝手に終了させ、無言で
立ち去っていく。

私は、引き留める力も残っていなくて、その場に崩れ落ちた。