「う~ん、何でそんなに五鬼上を庇うのか、僕には理解しかねます」

首をひねる六華くんに対して、私は素早く口を開く。

「桜は、不愛想に見えるけど、私を助けてくれたり、辛かった時は側にいて
くれた。なんだか心があったかくなって、桜と一緒にいると元気がでるの。
だからーー、“騎士”は桜になってもらうことにしたから」

すると、六華くんは「はっ?」と大きな瞳をより開かせて、呆然と私を見る。

「実は、セレブ婚目当てで、六華くんを“騎士”に選んだの。将来、お金に
困らない幸せな家庭を築き上げたいって思って。でも、今はーー、桜の
側にいたい。だから、六華くんとは、友達っていう関係にして欲しい」

私がそう言い切るとーー、何故か六華くんは突然、笑い出した。