そういえば……、六華くんが、私の前の席の人は問題がある生徒だって
言っていたけれど、もしかしてーー、桜のこと?

でも、桜は2年生だし。うん、きっと違うよね。
私はそう割り切って、HRが始まるまで呑気にスマホをいじっていた。

しかし、この時の自分はまだ事の重大さに気が付いていなかったーー。

キーン、コーン……。

「麗さん、急にこんな所に呼び出してすみませんね」
「いえ……、私は別に」

HRが終了した直後、教室に六華くんが来て、私に話があるからと呼び出された。
今日の朝、六華くんに酷いことを言ってしまったから正直、気まずい。

だけど六華くん本人は、相変わらずにこにこしている。
それが逆に、気味が悪いと感じた私。

でも、私も彼に言わなくてはいけない事があるので、悠長にしていられない。
私は、勇気を振り絞って顔を上げた。