すると、桜が「は?」と大きく瞳を見開いた。
「それ……、本当なのか?」
「う、うん。そうだけど……」
私が頷くと、桜は顔つきが変わり今まで聞いたことのない、字を這うような声で
「殺してやる」と物騒なことを言い出す。
「麗。俺が代わりにアイツをしばく。もうこの時間なら学校に来てんだろ」
「ちょ、ちょっと! 勝手にそんなことしたら、退学しちゃうのは、桜の方
だよ……!」
桜の腕を引っ張り、なんとか彼をなだめる私。
「じゃあ、どうすればいいんだよ」
「あの……、1つお願いがあるんだけど」
「?」
「私のーー、私の“騎士”になってほしいの。桜に」
「でも俺は、不良だぞ?」
私はブンブンと首を横に振った。
「確かに、桜は不良だけどーー、でも、私は桜が悪い人だとは思えない。
お願い、私の騎士になってください」
敬語でそう言ってから、頭をゆっくりと下げる私。
「はぁ~、仕方のないお姫様だな。わかった、そこまで言うなら麗の騎士に
なってやるよ。改めてよろしく、麗」
「あ、ありがとう! こちらこそ、よろしく桜」