中学最後の日を終えた、帰り道。

私の通う学校は卒業式が普通より早く、まだ冬のかじかむ季節の
真っ只中だった。

雪が降りだしたのは、私がアーチ橋の上でぼうっとしていた時。

天気予報を丁度確認し忘れ、あげく傘も持っていなかった運の悪い私は、
そのまま雪粒に頭上から降られるがままだ。

薄っぺらいパーティードレスでは寒さと冷たさが身に染みる。

私の親は大企業の社長で自分は、その一人娘。

通っていた私立中学は、特別な催し物や行事に、全校生徒強制参加の
パーティーにでなくてはいけない。

もちろん、今回の卒業式もパーティーが開かれたのだ。

みんな嬉しそうで、将来の希望に満ち溢れているのが感じ取れて、
正直、心が沈んでしまった。

だって私には、未来なんて約束されてない人間だからーー。

「ーーおい」
「……」

「おい、聞いてんのか!?」
「……あ! ごめんなさい、えっと、ありがとう……」