桜がすべてを話し終えた後、私は横で「そうだったんだ……」と呟く。
そしていつの間にか私と桜は、昇降口に辿りついてしまっていた。

「麗。じゃあ、俺はもう行くからな」
方向転換した桜の制服の裾を、私は慌ててぎゅっと掴む。

「待ってよ! そ、その、ちょっとこっち来て!」
急な行動に、桜はきょとんとしながらも、私の背中を黙ってついてきてくれた。

私が桜を誘導した場所は、校舎の後ろにある庭。
そこには花壇がいくつも並んでいて、沢山の咲いた花がそよ風で揺れている。

「どうしたんだよ、一体」
「あのね、桜、ごめんなさい。私も嘘ついてることがあるの」

私は周りに誰もいないことを確認してから、小声でそっと言った。

「今の騎士の男の子ーー、四王天 六華くんなんだけれど……、私、彼が
他の女の子とイチャついて、私のことは姫じゃないみたいな言い方してるところ
聞いちゃったんだ……」