ーー、王子様スマイルの六華くんが何故か、扉の前に立っていた。

「……どうして、居るの?」
最悪だ、という気持ちは咬み殺して、私は何とか声を絞り出して、問う。

すると、六華くんはきょとんとした後、にこっと笑ってこう答えた。
「騎士は姫を守ることが役目ですから、送り迎えは当然の行為です」

「……こんな朝早くから私を待っているワケないでしょ。誤魔化しにも無理が
ありすぎるんじゃない?」

心に生えた棘を突き刺すように、私はそう発言する。
すると、ほんの一瞬だけ、六華くんの表情が崩れたように見えた。

「いやはや……、実は僕としたことが、今日提出するプリントを生徒会室に
置き忘れてしまって。一人で行く予定だったのですか、やはり麗さんの事が
気にかかって、玄関前で待たせていただきました」

「ーー、ごめん、今日は一人にさせて」
「ーー、え?」