六華くんは神妙な面持ちで、口をゆっくり開いた。

「騎士は入学してから1ヶ月以内に決めなければ、出席番号が前の
人となるのはご存じですよね?」

「え? う、うん」

「実は、この学園の出席番号はあいうえお順ではなく、入学試験の結果
で決められるもので……、あなたの前の席の人物はちょっと問題のある
生徒なのです」

「ーーへ?」

「もし、騎士が僕でお気に召さなかった場合、入学式から1ヶ月以内に
新たな騎士を決めなければ、自動で出席番号が前の人物が騎士となります」

真剣だけど、どこか不安げな顔をしている六華くんに申し訳なく思って、
私は精一杯笑って、こう答える。

「大丈夫だよ、私、六華くんが騎士で嬉しいから」

「そうですか、良かった。本当は騎士は、同じクラスの者から選ばなくては
いけないのですが……、生徒会長として特別に麗さんの騎士になれて、これ以上の
幸せはありませんと、思っています」