六華くんの正体は、学校1の資産家の一人息子で、いわゆるお坊ちゃまだと
知ったときは凄く驚いた。

しかも生徒会長を務めていることから、さぞかし頭も良く、人望も厚いので
あろう。

そして私はある一つの決意を一ヶ月前にする。

ーー“セレブ婚”をして、借金お嬢様から脱出することを。
ーーそして、昔から憧れていた“幸せな家庭”を築くことを。

六華くんと他愛もない話しをしながら寮を出て学校へ行く。

着くと直ぐに体育館で入学式が行われて、それが終了すると先生に指示され、
各クラスに向かった。

周りは男の子ばっかりでなんだか落ち着かないなぁ……。
そう思いながら教室までの道のりを歩いているとーー。

「麗さん」
「え? 六華くん?」

六華くんは2年生だから、こっちの方角には用が無いはずなのにどうして
居るのだろうか。

「麗さん、伝え忘れたことがあって……。この学園の席順は出席番号で
決められているのをご存じですよね? それで、気を付けて頂きたい
ことがあるのです」