寮で暮らし始めて2ヶ月が経ち、今日はとうとう、姫立学園の
入学式の朝の日を迎えた。

純白のブラウスに、ピンク色のリボン、スカートは膝下丈くらいの長さ。

姿見の前で、制服の着方におかしなところがないかどうか、念入りに
チェックする私。

ーーよし、準備OK。

ベットの横に立てかけてあった鞄を手にとり、玄関を勢いよく飛び出した。

やわらかな春風が吹いて、中学から伸ばし始めたストレートの
黒髪がなびく。

「姫! 偶然ですね」
「お、おはよう、六華くん!」

私はなるべく元気よく、六華くんに挨拶する。

全寮制であるこの学園では、もちろん六華くんも寮暮らしで、しかも私の部屋の隣
ーー、《502》号室は、彼が住むことになった。

……“騎士”を六華くんに選んだから。

姫立学園は、1クラス男子が20人に対し女子が一人で、女子生徒は姫と呼ばれる。

私は、その“姫”とやらになってしまい、男子生徒の中から一人守って貰う騎士を
選ばなくてはいけなくて。

自分の野望を叶える為、私は六華くんを指名した。