「私立姫立学園は、去年から普通高校ではなく、特殊高校へ変わったんです」
「特殊高校……?」

そう呟きながら、私は六華さんから学校案内と資料のパンフレットを受け取る。

「……え、はい、分かりました。すぐに行きます」

視線を上げると、突如部屋に入って来た男子生徒が六華さんに耳打ちをして
何かを伝えている。

それが終わり、六華さんは眉をハの字に下げて、こう言った。

「すみません……、実は僕、生徒会長の仕事もしていて、今しがた、会議に顔をださな
ければいけないということで……」

「え……? あ、そうなんですか」

「代わりの者を送るので、その人から説明を聞いてください。それじゃあ、僕は
これで失礼します。申し訳ございません」

六華さんはお辞儀をしてから、そさくさと扉を開けて部屋を出て行った。
だけど、入れ違いで入って来た人物に、私は思わずぎょっとする。

「よぉ、お姫様」
「さ……、さく、ら?」