意識していなかったものの、言っている通りだ。
わたしには超能力はあっても武力はないから。建前はどうあれ、光峰さんという武力を引き連れようとしていたのは確か。
ただ、もう一つ大事な理由はあって。
「……春日さんに、一人で外に出るなって言われたから、です」
「ああ。……あの男ね」
彼女の顔付きが険しいものに変わった。
春日さんへの、嫌悪……みたいなものが感じ取れる。
明らかに、彼に対して初めての反応。
「おまえ、従わせる側ではないの? なに素直に言うこと聞いているのよ」
「で、でも」
春日さんに“命令”は聞かなくて。
なにより、恩人だから……。
「いいわ。メイクをしましょう。あっちに座って」
いつの間にか着付けが終わっていた。
壁際に置かれた化粧台を指され、着崩れしないよう移動する。
「じっとしていて」
メイク中、彼女は一言も発さなかった。
春日さんの名前を出した途端の変化だ。
それまで、強気で自信に満ちた様子だったのに。何かをぐっと堪えるような無表情で。
彼女の、触れてはいけない部分に触れてしまったのだろうか。



