排他的に支配しろ





 手を広げるよう指示され、腕に通されていくのは何度目だろう。

 わたしだけ別の部屋に連れ去られたと思ったら、身ぐるみを剥がされてしまって。

 現在、恐らく着物を着せてもらっている。

 花屋のボスはその様子を遠くで眺めており、非常にいたたまれない。



「あ、あの、どうしてわたしは着物を着せられているんですか……?」

「ドレスコードよ。おまえに着付けしてもらう機会なんてなかったでしょう。感謝なさい」

「えっと……」

「ヘアメイクは後でワタシがしてあげる。嬉しいでしょう?」

「ありがとうございます……?」



 光峰さんと離ればなれになって、不安だったけれど。

 今のところ、嫌なことでも怖いことでもない。

 少し……かなりお腹が苦しいくらい。



「ルイから面白い話を聞いたわ」



 彼女が目を伏せると、儚げな印象になる。



「おまえ、あの百鬼 咲を一瞬黙らせたそうじゃない。あれはね、暴れると手に負えないって有名なのよ」



 なきり……? あ、ピンクの。そんな名前だったんだ。

 黙らせたというか、落ち着いてもらうよう言っただけで。



「超能力を使ったの?」



 ──え。

 なんで知って……。