✦
✦
手を広げるよう指示され、腕に通されていくのは何度目だろう。
わたしだけ別の部屋に連れ去られたと思ったら、身ぐるみを剥がされてしまって。
現在、恐らく着物を着せてもらっている。
花屋のボスはその様子を遠くで眺めており、非常にいたたまれない。
「あ、あの、どうしてわたしは着物を着せられているんですか……?」
「ドレスコードよ。おまえに着付けしてもらう機会なんてなかったでしょう。感謝なさい」
「えっと……」
「ヘアメイクは後でワタシがしてあげる。嬉しいでしょう?」
「ありがとうございます……?」
光峰さんと離ればなれになって、不安だったけれど。
今のところ、嫌なことでも怖いことでもない。
少し……かなりお腹が苦しいくらい。
「ルイから面白い話を聞いたわ」
彼女が目を伏せると、儚げな印象になる。
「おまえ、あの百鬼 咲を一瞬黙らせたそうじゃない。あれはね、暴れると手に負えないって有名なのよ」
なきり……? あ、ピンクの。そんな名前だったんだ。
黙らせたというか、落ち着いてもらうよう言っただけで。
「超能力を使ったの?」
──え。
なんで知って……。
✦
手を広げるよう指示され、腕に通されていくのは何度目だろう。
わたしだけ別の部屋に連れ去られたと思ったら、身ぐるみを剥がされてしまって。
現在、恐らく着物を着せてもらっている。
花屋のボスはその様子を遠くで眺めており、非常にいたたまれない。
「あ、あの、どうしてわたしは着物を着せられているんですか……?」
「ドレスコードよ。おまえに着付けしてもらう機会なんてなかったでしょう。感謝なさい」
「えっと……」
「ヘアメイクは後でワタシがしてあげる。嬉しいでしょう?」
「ありがとうございます……?」
光峰さんと離ればなれになって、不安だったけれど。
今のところ、嫌なことでも怖いことでもない。
少し……かなりお腹が苦しいくらい。
「ルイから面白い話を聞いたわ」
彼女が目を伏せると、儚げな印象になる。
「おまえ、あの百鬼 咲を一瞬黙らせたそうじゃない。あれはね、暴れると手に負えないって有名なのよ」
なきり……? あ、ピンクの。そんな名前だったんだ。
黙らせたというか、落ち着いてもらうよう言っただけで。
「超能力を使ったの?」
──え。
なんで知って……。



