彼女はわたしと目を合わせ、にこりと優雅に微笑んだ。
「おまえが神上 臨?」
「えっ、は、はい……」
存在感に圧倒される。
まさかこの人がルイさんの言っていた、ボス?
花屋で一番偉い人。言われなくても気付いてしまうくらいには、彼女に称号が似合っていた。
「あの男を連れてきたのはおまえ?」
言いながら、光峰さんを指差す。
「……はい、わたしです」
「そう」
わたしが頷きつつ肯定すると、彼女は着物をひるがえして門の中へ進む。
「来なさい」
それ以上何も言われなかったので、光峰さんは許されたのだろう。
これから起こることが何もわからなくて、恐る恐る、足を踏み出した。



