排他的に支配しろ





 妙に街が静かだった。

 ルイさんが乗ってきた車に座りながら窓の外を眺めても、道を徘徊する集団は一つもない。

 まるで神隠しに遭ったみたい。



「リンちゃん、お菓子食べるっすか?」

「え……んむ」



 振り返った口の中に棒状の食べ物を押し込まれた。

 後部座席で隣に座るルイさんが笑顔でもう一本手にしている。



「あ、ありがとうございます。人、全然いませんね……?」

「街全体でお休みなんすよー。見回りしなくていいんで、KEEP OUTがいないだけっす」



 それだけでこんなに閑散としているということか。



「リョウくんも! あ~んっ」

「結構です」



 助手席に乗り出して差し出すも、光峰さんには断られていた。

 ルイさんは、他の人と違って春日さん以外にも絡みに行く感じだよね……。



「リョウくんてばガードが固いっすよね。反対に……」



 肩をぐいっと引き寄せられる。

 彼の胸に頭がぶつかった。



「リンちゃんは緩すぎっすね」

「あ、……」



 やってしまった……!

 腕を巻き込んで抱き締められているせいで、身動きが取れない。