ルイさんが言うには、こうだった。
組織のボスにわたしのことを世間話程度で話したところ、ボスがわたしのことを気にしたようで。
一度会ってみたいと。そういう話になってしまったらしい。
「今から来てほしいんすけど、どうすか?」
「それって、組織の勧誘とかじゃ……」
「いや、遊びに連れておいでーって感じだったっすよ! そもそも、今日は営業ないんで!」
それだったら……。
折れかけたとき、光峰さんの鋭い視線がわたしを射抜く。
もっと用心しろ、って言われている気がする。
「だめっすか……?」
しゅんと落ち込むルイさん。目をうるうるさせている。
せっかくここまで来てもらったのに、断って帰らせるのはよくないのかな。
いやいや、今のわたしは警戒心があるんだ。
「リンちゃん……」
……う。
「ど、どうしましょう、光峰さん……」
「結局私に聞くんですね」
春日さんがいたら、一緒に来てもらったかもしれないけれど。
光峰さんを誘うのは、本人が嫌がりそうで。
ちら、と見上げると、彼は眉間にシワを寄せていた。



