排他的に支配しろ



 わたしは……今日から、どうしよう。

 先生達がいるところには帰りたくない。

 野宿するにしても、また悪人が寄ってきたときに彼のような救世主が現れるとも限らない。

 わたしの“命令”だって、どこまで効くのか定かじゃないから……。



「……あ、……いや、でもな~、まだ遊び足りないかもなあ~」

「……?」



 急に救世主の仕草が大袈裟になった。

 ガシガシと頭をかき、右往左往に目を動かす。



「遊びに付き合ってもらおうかなあ……?」



 最後に、ちらり。わたしに目配せしてくる。

 チャンスを与えてくれているという解釈で間違いないのだろうか。



「いくらでも付き合います」

「……うん、あんたさ、こんな感じでさっきの男にも付いて行ったでしょ」

「えっ、……た、確かに」



 でも救世主なのに、悪いことするわけないのでは……?



「はー……すごいの拾っちゃったなあ」



 救世主の透き通った瞳が正面からわたしを捉える。サングラスの奥にこんな綺麗なものがあったんだ。

 彼の瞳に映るものは、全てが芸術品のようだった。



「ほんとーに俺でいいのね? 傷付くから後悔しないでよ?」

「しません」



 なんだろう。心臓の辺りがムズムズする。