香りに吸い寄せられるように。
あるいは、なんでもいいから気持ちを逸らしたくて。
彼の唇とわたしの唇を、合わせた。
……物足りない。
もっと沸騰するくらい、熱く触れていたい。
素直に従ったのは失敗だった。
わたしが春日さんに愛されたいと強く願ってしまうのは。
愛しているのが──わたしの方だから。
は……、と息を吸うために開けた口。
「っんん……!」
冷たい空気が入ってきたのは一瞬で、すぐに塞がれる。
「ふ、ぁ……っん、」
熱く、切ない。
わたしが求めてしまうこれは……。
──逃げなきゃ、これが永遠になる。
どんどん飲み込まれていく。
思考が春日さんで埋め尽くされる。
底が訪れない沼みたいで、漠然とした恐怖が襲った。
これの本当に恐ろしいところは、そんな恐怖でさえ甘さに変えてしまうところ。
抜け出せなくなった頃には、抜け出したくなくなっているところだ。
「は、ぁっ……、かすがさん、」
「何回してもへたくそだね」
「っ、」
体はピクンと小刻みに痙攣を起こす。
意識していないのに何度も跳ねるから、止め方がわからない。



