お尻を浮かせて座るふりをしたら、強引に引き寄せられて。
結果、横抱きで椅子に足を投げ出す形になってしまった。
ぎゅっと閉じ込められる温もりに、いつまで経っても慣れない。
まとっている布が少ない分、感じる鼓動も強くなる。
「こ、これ、春日さんを楽しませられてるんですか?」
「う~ん……なんか、ツボなんだよねえ」
「壺?」
「反応。かわいいな~って」
「えっ……!」
かわいい。漢字で書くと、愛すことが可能。
……違う。別に、愛なんてなくても使える言葉。
期待するだけ無謀、だ。
「りん、今日の分」
今日は目を閉じてと言われなかった。
代わりに、春日さんが長いまつげを伏せる。
これって、わたしからしてほしいってこと……だよね。
だめ、緊張が上手く息を吸えなくする。
そういえば、春日さんから苦味のある香りが消えていた。
いつからだろう。特徴的な香りだったから、記憶に焼き付いていたのだけれど。
今はほぼ無臭に近く、微かに甘い。
この匂いも、結構……好きだな。



