排他的に支配しろ



 大きな街を管理できるほどの権力者……。研究所の比にならない。

 わたしは、小さな箱庭から大きな箱庭に移動してきただけだったというわけだ。



「南蜘蛛家にとって、私達は街作りゲームの駒でしかありません」



 ぼやけていた輪郭が、ようやくはっきりしてきた気がする。

 ──この街は、命が軽い。



「……ますます心配になってきました」

「人のことを気にしている場合ですか。先に自分の身のことを考えたほうがいいですよ」



 それは、そう……なのだけれど。



「なんの話~?」



 背中に重りが乗り掛かる。

 首だけ振り向くと、春日さんに後ろから腕を回されていた。

 いつも緩く一つにまとめられている髪が下ろされていて、少し新鮮。



「おはようございます、春日様」

「おはよ。二人、仲良くなったの?」

「それはこちらの言葉です」

「うん、俺らは仲良くなったんだよね~」



 春日さんはわたしの首元に顔を埋めて会話している。ときどき掠める吐息に体が反射的にビクッと跳ねてしまう。

 恥ずかしいからなるべくしたくないのに。



「ふっ」

「ひっ、ぁ!?」



 耳に直接息を吹き掛けられた。

 クスクス笑って楽しそうにしている春日さん。

 た、楽しいならいいけれど。