排他的に支配しろ



「私を、心配したと?」

「しましたよ……」



 はっ、と鼻で笑われてしまう。

 わたしは笑えなかった。生きている内は、何が起こったっておかしくない。

 それこそ、昨日まで続いていた繰り返しの一日が突然崩れる可能性を身をもって知っている。



「そんなこと初めて言われました」



 馬鹿にされているのかと思っていたら、わたしの思い込みだったようで。

 光峰さんは面食らった様子で苦笑を浮かべていた。

 わたしへの敵意はないようでほっとする。



「私は少し驕っていたようです。南蜘蛛は人を生かすことが目的の街ではないこと、今一度思い出しました」

「え? 街に目的があるんですか?」

「聞きませんでしたか? この街は、南蜘蛛家が管理している街──本来の街の名はあれど、失言を恐れて誰も口にしません」



 少し気になってはいた。『南蜘蛛』という名前は、地名だったりすれば一家の名前だったりもする。もっと広義の意味がある風にも感じる。

 

「私達は南蜘蛛家に生きる場所を提供してもらう代わりに、飼われているのです。そして生に足掻く私達を見て、南蜘蛛家は楽しんでいる」