光峰さんと再会したのは翌日。
「おはようございます、臨さん」
彼は、何事もなかったかのように台所に立っていた。
手際よく動いており、甘さと香ばしさが鼻をくすぐる。
「よか、った……」
腰が抜け、へなへなと地面に座り込む。
光峰さんは冷ややかな視線を浴びせてくるだけ。
手を洗い、ふぅと息を吐いてわたしに差し伸べてくれた。
「なんですか、人の顔を見て」
「あ、す、すみません……おはようございます。っじゃなくて、無事でよかったです」
「はい?」
掴もうとした手が空を切る。光峰さんが少し引っ込めたのだ。
また意地悪された。今回は怒りより安心が勝っているので、特別に許すことにする。
なので、結局自力で立ち上がった。
「何がよかったんですか」
「だって、銃を持った危ない人がうろついていたんですよね? そんなときに出ていかれたら……心配します」
どうしてか、訝しげに見られている。
春日さんに大丈夫だと言ってもらえる人だから、そして組織の偉い人だから。光峰さんに不安を抱く必要はないのかもしれない。
でも……もう、身近な人が消えてしまうのは嫌なのだ。



