親しみやすい顔つきと、明るい声色。……何か裏があるはず。
第一印象で人を判断すると危ない目に逢うと学んだわたしは、疑うことを忘れない。
「ちょっと待て」
腕を取られる。
「この女はオレんとこで引き取る」
間に割り込んだピンク髪の人がわたしを引き寄せた。
それが引き金となって、騒がしさが復活してしまう。
「サキくん、こういうときは本人の意見を優先するっす。もうウチのっすよ」
「先にコイツを見つけたのはウチだ。クソが余計なことして逃がしたんだよ」
「逃げられてるんだから彼女はまだ無所属ってことっすよね? 内部抗争ばっかしてるから鈍ってるんじゃないっすかー?」
「んだとコラ」
どうしてこんな、いちいち喧嘩腰で会話ができるのだろう……。
「はぁ……」
光峰さんも深いため息を吐いていた。
挙げてもらった組織は三つ。光峰さんのところと、花屋と、昨日わたしを襲ってきたところ。
ここにいる三人は話を聞くに、それぞれ別の所属らしい。
どこに入っても似たり寄ったりなのかも……。わたしも息を吐きそうになった。



