排他的に支配しろ



 急に賑やかになって呆気に取られる。

 この人達は、おそらく春日さんの知り合いなのだろう。

 しかし、光峰さんの態度が知り合いで収まるものではないことを指している。あんなにわたしを脅し笑っていた光峰さんが、二人に対して萎縮しているように感じるのだ。


 目前で始まろうとしている殴り合いを、光峰さんは止めようとしない。

 いや。止められない、が正しいのかもしれない。

 ただただ事が終わるのを見ているだけの光峰さん。

 助けるつもりではないけれど、わたしならなんとかできる可能性がある、と一歩踏み出した。



「あのっ……“落ち着いてください”」



 “命令”を試してみる。春日さん以外になら、ちゃんと効くだろうか。


 効いてほしい──願いは届き、ピタリと。

 男達どころか、物音にすら静寂が訪れた。


 代わりに、視線は全てわたしに降り注いでいる。


 光峰さんさえも。わたしを信じられない目で見ていた。

 わたしのこと、春日さんから聞いたって言っていたのに。

 この人も超能力を信じない派の人だったんだ。