「『百鬼会』……は特殊だから飛ばすとして……。女性は多くが『花屋』に行きます。臨さんには無理でしょう」
流れるようにまた無理って言った。
カチンと来て言い返す。
「花屋さんならわたしにだって……」
「いいえ。花屋さん、ではありません。『花屋』です。売るのは植物の花ではなく、」
二度目の接触。光峰さんの手が、今度はわたしの背中に当てられる。
上から下へ。つつ……、と人差し指で背骨の形を確かめるみたいに。
「──あなたの体、ですよ」
「っっ……!」
「ふ……気持ち悪いですか? 向いていない証拠です」
光峰さんはわたしの反応を楽しんでいる。
体を売る? 労働力ってこと?
そんなにひ弱だと思われているなんて心外だ。これでもキョウダイの一番目として、みんなと体力勝負をして勝ってきている。
食べ終わったテーブルの上にフォークを叩き付け、勢いで席から腰を上げた。
「『花屋』、わたしできます」
「……そうですか。でしたらご案内いたします」
「お願いします」
強気に言い放った、そのとき。
「春日さん! この度はウチのもんが本当に申し訳ございませんでしたッ──!」
家の入口から、大声が響き渡った。



