「できるにはできるんだろうけどね」
「わたし、なんでもしますよ……?」
「わかってないからそうやって言えちゃうんだよね~」
「……?、?」
何を頼まれるのか、想像もできない。
わたしの価値は、強いて言うなら能力くらいだけれど……春日さんは興味がないはずで。
言い渋っているのは、それだけ危険だという意思表示か。
でも、わたしは外に出れば危険な状態を匿ってもらっている。
彼のために、なりたい。
「春日さんならいいですよ……」
ひっそり呟いて、顔を上げた先には、
「ほんっと……甘いなあ」
切なそうに笑う姿が見えた。
そうして春日さんは──わたしに唇を落とす。
それはそれは優しく。それはそれは丁寧に。
まるで、愛情表現をするかのように。
触れたところからじんわりと広がる熱が、私の体を沸騰させるから。
脳が誤解してしまう。
彼に、愛されてるんだって。
「ああほら……わかってなかったでしょ」
愛……愛、って?
混乱しているところに、もう一度柔らかい感触はやってくる。



