排他的に支配しろ





 「失礼します」かろうじて前にいる春日さんに聞こえるほどの声量は、遠くまで伸びた廊下に溶けていく。

 追いかけた先に辿り着いたのは、春日さんの家だった。

 この街で昨日一夜を過ごした宿に似た景観だったけれど、中身はまるで違う別世界。

 マンションには、同じ建物でも様々な種類があるようだ。

 エレベーターの階数ボタンも、知っているものと桁数が違っていた。



「一人で住んでいるんですか?」



 それにしては広すぎるような。



「いいや? 住み着いてるネズミが一匹、口の悪いロボットが一体」

「こんなに片付いていてもネズミが出るんですか……」


「元気な犬達も来るよ」

「賑やかですね……?」


「その方が楽しいでしょ」

「……それは、わかります」

 

 昨夜、なかなか寝付けなかったことを思い起こす。キョウダイと同じ空間で就寝する日々が、崩れたからだ。

 誰かが騒ぎ、誰かがそれを咎める。時には先生達に見つからないように全員で夜更かしをしてみたり、喧嘩が起こって気まずい空気で一夜を過ごしたり。

 全て、一人で作れるものでは決してなかった。