排他的に支配しろ






「おかえり、りん」



 先に玄関から一段上がった春日さんが、わたしに言う。

 わたしは彼らに不誠実なことをしてしまったのに……迎えてくれるんだ。

 目頭が熱くなるのを堪え、頭を下げる。



「あのっ、すみませんでし──」

「謝る前に。家出から帰ってきたら、なんて言う?」

「っえ……」



 春日さんが目の前でしゃがむ。

 見上げてくる優しい微笑み。



「……ただいま……」

「うん。せーかい」



 広げられた両腕に、飛び込んだ。


 勢いが強くて、春日さんは廊下で仰向けになってしまったけれど。

 回してくれる腕が離れることはなかった。



「たくさんご迷惑おかけして、っ、すみませんでしたっ……」

「俺の方こそ。《心理》、奪われちゃった。あんまり話を聞いてくれそうな感じもなかったしな~……伝える言葉間違えたなあ」



 春日さんが落ち込んでいる。

 もっと、素直に春日さんが信頼できるひとだって《心理》に伝えていれば……。

 ……ううん、過ぎたことの後悔はもうしない。

 わたしが春日さんに特別な気持ちを抱いている限り、《心理》と一緒にいさせるのは危険だった。

 研究所でのわたしを見ていれば洗脳を疑うのは当然で、信頼できないのもわかってしまうから。