わたしね、ずっと気持ちをごまかしてた。
確かにこの街は物騒だけど。
春日さんのそばにいられた時間は、幸せだったよ。
言いなりじゃなくて、初めて自分で考えて、楽しくしていきたいって思ったんだよ。
嘘吐いて、ごめんなさい。
本当は……外、出たいと思ってないの。
春日さんと一緒にいたいんだ……。
わたしの言葉を《心理》は静かに聞いていた。
《心理》が積み上げてきたものを壊す行為だった。
長い沈黙が終わる。
「なんで、そいつなの」
「……初めて、ちゃんとわたしの名前を呼んでくれた人だから、かな」
彼はふっと笑うと、
「名前は……大事だな」
力なく目を閉じる。
百鬼会に連れていかれる《心理》。
「いつか、また絶対会いに行くから」
別れ際に、そう残して。



